
わたしたちのグループは,富貴(ふき)での米作りと水との関係について調べました。1999年度,富貴での米作りを調べた結果,「富貴の田は『ふけ田』が多く,水不足で困ることもある。」と分かりましたが,米作りと水との関係をさらに詳しく調べてみることにしました。そこで,富貴と隣にある筒香(つつが)の農家の方々にインタビューしました。
1 今年の水不足について
(1)今年の4・5月は雨がほとんど降りませんでしたが,水不足で困ったことはありませんでしたか?
- 耕す時に、水がなかったので土がかたくて困った。
- 山の水があるので困らない。近くに田を作っている人がいないから。
- ふけ田だから、水には困らなかった。
- 水が足らなくて育苗と田植えに困った。
- ポンプで川の水をくむのに苦労した。ポンプは何万円もした。
- ポンプを使って川から、300メートルもホースを使ってくみ上げた。
- 近くに川があるので、水には困らなかった。
- 水が足らなかったから、苗も育ちにくかったし田植えにも苦労した。
- 水をくむにのに去年の倍かかった。
同じ富貴でもところによって水に対する苦労はいろいろでした。筒香地区では水不足の心配がないようです。
(2)水不足に対して工夫したことは何ですか?
- 川の水をせき止めてポンプで水を上げた。
- 水路を直したので調子がいい。
- 少ない水を田に、いれる時、水を入れる時間や、順番などを何軒かの農家で話し合って決めた。
水不足のとき谷川の水をタンクに入れて運ぶ/富貴と筒香の中間くらいにある用水路
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川の水を田に入れている/富貴の隣にある筒香を流れる川・富貴より大きい川になっている
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2 「ふけ田」について教えていただいたこと
- 富貴では,約半分の田がふけ田である。
- ふけ田というのは,深い田のことである。場合によっては,ふけ田に入ると大人の腰まで沈んでしまうこともある。
- 山の方のしりげ(田のうしろのところ)が深い。
- 肥料があまりいらない、機械が沈むので手で苗植えをしなければならない。
- 土がぬれている,または水がたまっている。機械が沈むから扱いにくい。ふけ田のことを、同じ高野町の花坂というところでは「ぬま田」という。
- 米がよくできる〔いい米ができる〕。
- 耕しにくい。機械が田の中に入る。手で植えたりするとき田に足が深く入る。肥料が少なくてすむ。植えたら根が張りやすい。水に困りにくい〔水もちがいい〕 乾かない。
- 水はけが悪い。
- 稲の根が腐ってしまうので成長が悪い。
「ふけ田」の様子
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3 ふけ田の水はけを良くするは方法はありませんか?
- とこ〔そこ〕に何かを入れる。昔は機械が田に沈んでしまって使えなかった。
- 特にない。
- 水を導いてくるみぞを深く〔1メートルくらい〕する。そうするとふけ田がなくなる
- 冬の間に水がたまらないようにする。深いところに小石やもみがらをたくさん入れる。昔30年〜40年ほど前は,田の底に板をしいていた。水が流れるようにみぞを深くする。水が流れる道を作る。
- かぶをおこして水が流れるみぞを作る。
- 耕地整理をするといい。
- 筒香にはふけ田がないから困らない。
- 田にみぞを作る。
- 稲の根が栄養を、取れないから、ふけ田の土が機械で練れない。ふけ田の底にみぞのようなパイプを埋めて水を抜かないと水はけが悪くなる。
4 水はけが悪いとなぜいけないのですか? 機械がふけ田に沈んでしまわない工夫はありませんか?
- 稲刈りや土用〔こよみで言う季節の一つです。〕ぼしの時に困る。
- 機械が田に沈んでしまい,稲刈りの時に刈りにくい。
- 機械が田に入るから使いにくい。
- 稲を刈るときじゅくくて〔じゅくじゅくして〕困る。
- 機械で刈っても大変だけれど手を使うともっと大変だと言っていた。
- 刈っても穂に土が付いて汚れるので困る。
- 稲の生長が遅くなる。
- 富貴では稲かりがしにくいのに筒香はまだしやすい。
- 稲の生長が悪い。
- 機械が、田の中に入って刈りにくい。太鼓みたいな物〔土を掘り返す輪のような機械の部品〕を大きな物にかえる。機械の部品を大きくする。
- ひげつぼをつくる。〔井戸みたいなもの〕
- 深くても使えるふけ田用の機械を使うそうです。新しいトラクターのタイヤは、ベルトになって沈まない。
普通より太いタイヤなどになっている
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ふけ田でも沈まない農機具/右側の青い○の部分が大きいといいそうです
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5 水不足だったのにため池ができなかったのはなぜですか?
- 山の水が流れてくるので必要がない。
- 水がたくさんあるからいらない。
- ふけ田だから水が少なくていい。〔ふけ田のいいところ〕
- ため池があるけれど、水がない。〔壊れている〕
